特徴は旨味や粘り、ツヤ。『日本人好み』のお米に育ちやすいということ
日本一有名とも言える魚沼産コシヒカリにはいくつか特徴があります。
この魚沼の地だからこそ生まれる特徴であり、そしてその特徴は日本人に好まれやすいという傾向があります。
なぜこれほどまで日本全国に広まったのか。
28年連続で米の食味ランキングの最高位"特A"を獲得し続けた最強とも言えるお米、魚沼産コシヒカリの特徴をまとめました。
昼に作られた栄養を蓄えやすい
魚沼の地は雪国というイメージがあるため、寒い、涼しいといったイメージを持つかたはいらっしゃいますが、日中はしっかりと暑いのです。
ですが山間地特有の気候で"昼夜の寒暖差が大きい"という特徴があります。
高気圧に覆われてよく晴れた日の夜間は地面から熱が奪われるため放射冷却という現象が強まります。
その結果、周囲の山々から冷気が降りてきてその冷気が盆地内に溜まり昼夜の寒暖差を生みます。
昼間にしっかりと光合成をして作られたアミロースとアミロペクチンという2つの成分からなるデンプン等栄養が涼しい夜間に消費されずに蓄えられるためよりおいしいお米に育っていくと言われています。
海沿いなど周囲にしめる水の割合が多い地域ですと、水は暖まりやすく冷めにくい性質があるため昼夜の温度差が比較的小さいという特徴があります。
もちろん海沿いでも美味しいお米は収穫されますが、日較差を生み出しやすい環境が山間部にはあるのです。
旨味が深く浸透している。まるで霜降り肉!?
そして、魚沼産コシヒカリの素晴らしい特徴として、旨味成分の層が深く浸透しているということがあります。
お米以外の食材で皮と身の間に栄養や旨味成分があるということがありますが、
お米に関してもまさにそうでヌカ部分とお米の白い部分の間に旨味成分があるのです。
そして魚沼産コシヒカリに関してはその旨味成分が白米部分に根をはるように霜降り状に深く浸透しているのです。
そのため精米した後も深く浸透した旨味成分が白米に残っているため旨味のあるお米になります。
ちなみに玄米を食べたことがある方はもちろんお分かりだと思いますが、旨味成分を完全に残そうということで玄米のまま炊飯するのが一番ということではありあません。
"もちもち具合"が丁度いい
お米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンという2つの成分からなります。
一般的にアミロースが低いと粘りが強くなり、高いとパサつきます。
魚沼の地で育ったコシヒカリはそのバランスが丁度いいためパサパサせず、もち米のようにもちもちし過ぎないのです。
ちなみにもち米はアミロースがなくアミロペクチンのみでできています。
日本人はパサパサしたお米よりも適度に粘りのあるもちもちしたお米をおいしいと感じる傾向があります。
また、チャーハンなどのようにお米自体を調理するより何かをおかずに白米を食べるということが多い食のスタイルでもあるため日本人の食事に合うと言えます。
タンパク質含有量が少ない
お米にはタンパク質が含まれているのですが、タンパク質が多く含まれていると食味が低下するということがわかっています。
そしてお米のタンパク質は窒素系の肥料を使うと増えてしまうことがわかっています。
窒素系の肥料は稲の成長を加速させますが、魚沼の地はそれほど肥料を与えなくても育っていき、また土壌の窒素量も適度であるため、タンパク質が少なく育つのです。
タンパク質を筋肉としてイメージしていただくとわかりやすいかと思いますが、タンパク質が多いとがお米が硬くなってしまうのです。
そのためパサパサとした食感になる原因となり、日本人の好きな粘りが減ってしまうこととなってしまいます。
豊かな魚沼の地のおかげでタンパク量が少なく育つため硬くならず、もちもちしたおいしいと感じるコシヒカリが育つのです。
以上、魚沼の米屋『塩沢米穀』がまとめてみました。