買う前に気をつけて!特別栽培米の方が美味しいというわけではない!
「特別栽培米」と聞くと普通に作られたお米とは違う何か特別な方法で育てられ、"よりおいしく育ったお米"と思いやすいと思います。
文字どおり特別な栽培方法で育ったお米なのですが、だから"よりおいしいお米"という意味では無いのです。
米屋としてお客様と会話していると特別栽培米の本来の意味が世間一般的に違った解釈になっているのでは!?と感じることがあります。
あらためて特別栽培米は"より美味しいお米"というわけではなく"より安全なお米"だという意味であることをご紹介いたします。
"より美味しい"というより"減農薬・減化学肥料"
「"特別栽培米"と書いてあるし、値段も高いし、こっちのお米ほうが美味しいですよね?」というお客さんもいらっしゃいますが実はそういう意味ではないのです。
簡単にまとめると特別栽培米というのは「各地域で普段使われている農薬の使用回数が50%以下、そして化学肥料の窒素成分量が50%以下」で栽培されたお米という農林水産省が策定した「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に沿って栽培されたお米のことです。
農薬や化学肥料を減らす分手間をかける必要があるのです。
減農薬・減化学肥料で栽培したからといってそのぶん食味が良くなるということではありません。
もちろん一般のお米が安全では無いということではありませんが、あくまで"より安全"といえるのが特別栽培米なのです。
特別栽培米=こだわり農家=おいしい。ではない。
特別栽培米をつくっている農家さんはこだわりを持ってお米作りをしていますが、その農家さん全員がきっちり管理をして育てているとも言い切れません。
実際に稲がある程度育った田んぼを見てみると、雑草だらけでもう何を育てているのかわからない状態になっている田んぼもあることは事実です。
意識して田んぼを見れば明らかに稲ではない雑草が稲の背丈を越えてたくさん生えているのですぐにわかると思います。
ただ、その雑草が証明する通り間違いなく減農薬なわけです。
そして減農薬であることは間違いないのですが、食味はまた別です。
通常に比べて除草剤を多く使えないため、管理を怠ればヒエや、ネムなどの雑草だらけになります。
そして肥料の使用も抑えなければならないため、雑草に栄養がとられ、稲が負けてしまい、良い育ち方をしないこともあるわけです。
特別な栽培方法で作られたお米なのですが、だから良質な食味というわけではなく、少ない農薬と化学肥料で育られたお米ということです。
農薬・化学肥料は自然によって運ばれる
実は日本で食品を販売するときに商品に「無農薬」と表示することは禁止されているのです。
ではなぜ禁止されているのか。
それは、農薬を一切使用しない栽培をしていても農薬が全くかかっていないと言い切るのは難しいためです。
例えばお米で言えば田んぼは隣どうし繋がっていますし川の上流と下流はつながっていますよね。
川上でまかれた農薬や化学肥料は川下へ流れるか、または風にのって飛んでいきます。
作物は自然環境で育つため一切農薬の影響を受けないという環境をつくるのが非常に難しいですよね。
そして消費者としては、もし『無農薬』と表示されていればその作物に全く農薬の影響がないと思って購入してしまいますよね。
認識の違いが生まれてしまいます。
それが無農薬の表示が禁止されている理由です。
特別栽培米は無農薬でなく減農薬ですが、そのあたりがなんとも言えない微妙なところではあります。
特別栽培米は"より美味しいお米"ということではなく"農薬と肥料をおさえたお米"です。
以上、特別栽培米について魚沼の米屋『塩沢米穀』が簡単にまとめてみました。